対ロシア制裁に関する2025年3月13日付回覧への更新:インフラ取引禁止(EU理事会規則833/2014第5ae条)に関するEUのFAQ
EUにより採択された第16次対ロシア制裁パッケージに関する2025年3月13日付の回覧をご参照ください。
本パッケージには、附属書XLVIIのPart Aに列挙されている港との取引禁止を導入する、EU理事会規則833/2014の第5ae条が含まれていることを確認しました。Part Aに列挙されている港は次の通りです:Ust-Luga港、Primorsk港、Novorossiysk港、Astrakhan港、Makhachkala港。
第5ae条第3項には、本禁止措置の適用除外が網羅的に記載されています。また、ロシアより輸出可能な特定の貨物、例えば、石炭の輸送に関して特段の除外規定がないことから、それらの貨物の輸送が依然として許可されているかについて、国際P&Iグループが明確化を求めていることも確認しました。
2025年3月20日、EUは第5ae条で導入されたインフラ取引禁止に関するFAQを発表しました。
FAQは次のことを明確にしています-第5ae条第3項により特に除外されていない限り、リストに列挙された港から商品を輸出することはできません:
「4. リストに列挙されているロシアの港および閘門は、輸入禁止の対象となっていないロシア原産の商品の輸送に使用できますか?最終更新日:2025年3月20日
第5ae条は広範な取引禁止を規定しています。原則としてEUの事業者は、第5ae条第3項で明確に除外されていない製品に関する取引への従事はできません。輸入禁止の対象となっていない商品も同様の扱いとなります。附属書XLVIIに列挙されていないその他のロシアの港は、第三国への輸送またはEUへの輸入(当該品が輸入制限の対象でない場合)に使用することができます。」
石炭に関しても同様の扱いとなる旨が具体的に確認されています:
「5.リストに列挙されているロシアの港および閘門は、ロシア原産の石炭を第三国へ輸送するために使用できますか?最終更新日:2025年3月20日
EUは、EUの制裁が合法的な貿易または人々の触れ合いに悪影響を与えたり、世界の第三国、特に後発開発途上国の食糧やエネルギーの安全保障に影響を与えることのないよう尽力します。さらに、EU理事会規則395/2025「第16次制裁パッケージ」)の前文29では、合法的な貿易への悪影響防止について言及しています。EU理事会規則833/2014(2025年2月24日付EU理事会規則2025/395により改正)の第5ae条は、これらの目的を考慮して解釈する必要があります。
EUの事業者は、世界におけるエネルギー安全保障を確保するため、ロシア産石炭の第三国への輸送が許可されます(リストに列挙された商品の輸入、購入、輸送に関するFAQのQ.2もご参照ください)。
とはいえ、EUの事業者はリストに列挙された港との取引の従事は禁止されているため、ロシア産石炭の第三国への輸送のため、リストに列挙されていない港へ迂回しなければなりません。」
また、FAQには、硫黄の輸送に関して重要な明確化が記されていることも確認しました:
「8. 第5ae条第3(d)項の除外規定は、肥料を製造するための硫黄などの原料や成分の購入、輸入、輸送にも適用されますか?最終更新日:2025年3月20日
はい、硫黄を含む原料または成分が肥料として、または肥料を製造するための原料として使用される限り、さらに、その購入、輸入、輸送がEU理事会規則833/2014で禁止されていない限り、第5ae条第3(d)項に基づく取引が許可されます。」
またFAQは、EUが制裁措置を域外適用しないことを明確にしました。したがって、EU域外の事業者がリストに列挙されている港と取引を行うことは認められています:
「9. 取引禁止は、第三国の国民または団体と、リストに列挙されているロシアの港・空港間の取引も対象となりますか?最終更新日:2025年3月20日
いいえ、制裁規則の適用範囲はEU理事会規則833/2014の第13条に規定されています;EUの制裁は域外適用されません。
同規定は、特にEU加盟国の国民であるEU域内外のすべての個人、および、EU加盟国の法律に基づいて設立または組織されたEU域内外のあらゆる法人、事業体または団体に適用されます。つまり、第三国の国民または事業体と附属書XLVIIに記載されている港および空港間のEU域外での取引は、EUの制裁の対象にはなりません。」
FAQはさらに、EUの事業者による非EU船舶に対する(保険の提供を含む)サービス提供の継続が可能なことを明確にしています:
「11. EUの事業者が、附属書XLVIIに列挙された港に寄港する船舶にサービスを提供する場合、第5ae条の対象となる事業体と間接的に関与することになりますか?最終更新日:2025年3月20日
附属書XLVIIに列挙された港に寄港した船舶に対するサービスの提供は、列挙された港との直接的又は間接的な取引ではないため、第5ae条で禁止されません。
欧州委員会のFAQはすでに、EU理事会規則833/2014の第5aa条における国有企業に関する取引禁止について、リストに列挙された事業体が所有する港に寄港する船舶への保険提供は、当該事業体との直接的または間接的な取引ではないことを明らかにしています(統合版FAQのG.5のQ.6ご参照)。これと同様に、リストに列挙された港に寄港する船舶に対するその他のサービスの提供も、直接的または間接的な取引には該当しません(例えば、補油サービスの提供、貨物の積み降ろしなど)。」
ただし、EUの事業者が、適用除外に該当しない状態でリストに列挙された港に寄港した場合、クラブは、当該港との直接的または間接的な取引(例えば、クレームに関する支払い等)への従事はできません。
またEUは、寄港後の報告目的のため、どの事業者がEUの事業者とみなされるかについて明確にし、さらに、本要件は保険会社に適用されないことを確認しました。
「14. 第5ae条の適用除外に該当する取引について、報告する必要があるのは誰ですか?最終更新日:2025年3月20日
第5ae条第5項に従い、EUの事業者は、第5ae条第3項または第4項に従って締結された取引について、締結後2週間以内に、法人が設立されている、またはその法律に基づき設立されている加盟国の管轄当局に通知する義務があります。
一般的に、次の取引に従事する事業者は報告を行う義務があります:リストに列挙された港で合法的な貨物を荷積みする船舶の管理会社または、リストに列挙された空港のいずれかに緊急着陸せざるを得なかった航空会社等
第5ae条第3項により除外とされる非制裁商品をロシアから輸入するEUの輸入業者は、港との直接的または間接的取引がないとみなされる場合、輸入について報告する必要はありません(Question 11ご参照)。リストに列挙されている港と直接的または間接的な取引がある場合は、その取引を報告する必要があります。」
ロシアが関与する取引は、非常に重要な法的規制の対象となります。メンバーの皆様は、適用される制裁措置に違反するいかなる取引に対しても保険カバーが適用されないことにご留意ください。また、制裁リスクの高い取引に従事する前に、関与または関与の可能性のある関係者、貨物、船舶およびその他のサービス提供者に関し、取引全体を通じて徹底的なデューデリジェンスを実施することをお勧めいたします。さらに、デューデリジェンスの調査結果を記録に残すことを推奨いたします。
国際グループのすべてのクラブは同様の回覧を発行しています。
UKP&Iクラブ 日本支店 訳