15/08 - 勘定未閉鎖保険年度及び2009年度保険料について も併せてご参照ください。

Trulli

勘定未閉鎖保険年度及び2009年度保険料について

2008年10月27日に開催された理事会におきまして、金融市場における未曾有の混乱と2006、2007保険年度クレームによる大幅な損失を背景に、理事会は上記両年度についての予定外保険料、2008保険年度の予定外保険料の見積り、また2009年度保険料引き上げ率を決議しました。

理事会は、この変動と不確実性の時代に、クラブの財政力は、これまでにも増していっそう重要性を増すものと信じています。そのため理事会は、準備金がこれ以上極端に低下してしまわないよう、保険年度の損失を予定外保険料で補填するべきであると決定しました。これはメンバーにとって厳しいことですが、今この対策を講じることで、将来保険料を引上げて準備金を守る必要性も減ってまいります。

昨年来、理事会はその財務計画に基づき金融市場の動きを注視し、2006年、2007保険年度のクレームの急増に対してもクラブが資金を維持していくためにいくつかの措置を講じてきました。

2007年10月の早い段階で株式の保有率を大幅に(19%から2%に)下げたことにより、当クラブは株式市場の崩壊による直接の影響を免れることができました。2008保険年度保険料については、最近のプール・クレームの記録的な急増を反映して引上げが決定しました。2008年8月に起債したハイブリッド資本は、クラブのソルベンシーを1億ドル強化しました。これはEUのソルベンシー2規制で求められる資本要件を満たすための重要な手段であり、クレームの急増を補填するために意図されたものではありません。またクラブは財政破綻した企業による損失もありません。クラブはクレームを支払う通貨の割合で、各国通貨を保有することが規制当局により求められているので、主要通貨の為替変動には必ず影響されます。しかし、投資の為替差損益がクレームの支払割合と連動することになるので、この法令要件によりかなり保護されています。しかし、この通貨割合の連動には時間のずれがあるので、財務計画ではこの時差を考慮に入れなければなりません。

上記のような対処をして参りましたが、急激な金融不安の状況で、今年度の投資収益はマイナスとなる可能性が高いことが明らかとなり、2006保険年度以降の損失を補填しきれない状況となりました。さらに保険計理人が8月20日付で報告した後にもこれら保険年度勘定の損失は増加しています。投資収益の落ち込みの主な要因は為替の変動なので、今後クレームも連動して減少し相殺されてゆくべきなのですが、それでも2006年の保険年度勘定の損失は6100万ドル、2007年は8300万ドルとなると予想され、保険年度勘定を閉鎖するに十分な投資利益が見込めない状態です。以前からご報告してきたとおり、損失の主な部分はプール・クレームによるものとはいえ、いずれにしても保険年度の損失は補填しなければならず、将来の年度に損失を先送りすることは公平の原則に反します。これらの状況により、理事会はこのたび予定外保険料の徴収に踏み切らせていただき、以下の通り決議いたしました。

2006保険年度

当該年度保険料の20%を予定外保険料(Supplementary premium)として2008年11月に請求し、支払期限を2009年3月とします。解除保険料(Release Call)は年間保険料(Mutual Premium)の30%とします。

(パーセンテージの計算根拠は予定外保険料20%+10%です。)

2007保険年度

当該年度保険料の25%を予定外保険料として2008年11月に請求し、支払期限を2009年6月とします。解除保険料は年間保険料の35%とします。(計算根拠は予定外保険料25%+10%)

2008保険年度

為替の変動を考慮すると2008保険年度勘定を補填する投資収益はほとんど期待できません。当年度は8ヶ月しか経過していないため、最終支払保険金の総額を明確に予想することは時期尚早です。しかしながら2006年、2007年度のクレームの傾向を考慮し、20%の予定外保険料を見積らせていただきます。2009年10月の理事会にて、この予定外保険料の額を最終決定いたします。その時点でクレームが明らかに改善しているなら予定外保険料は減る可能性もあります。 尚、2008年度の解除保険料は現在のところ35%と見積もっています。(計算根拠は予定外保険料20%+15%)

2009保険年度ー保険料引上率(General Increase)

上記により当クラブは過去の年度の損失から抜け出し、前進することができるはずです。もちろん理事会としてはあらゆる機会をとらえクラブの資金をリスクのない方法で運用し、確実に投資収益を上げていく所存ではありますが、昨今の金融市場の状況においては、2009年度の保険料の設定は投資収益にあまり頼ることなく設定することが、急務であると認識しています。理事会は直近の実績を勘案し、2009保険年度の保険料は一律12.5%引き上げることとし、これに国際グループの再保険コスト増減分を加味することを決議しました。また、用船者責任(Time Charterer)および固定保険料契約者の保険料引上率は一律7.5%とします。

2009保険年度の解除保険料は25%と見積もっています。また例年通り保険料の支払いは4回払いです。

今後の保険年度

理事会を構成するメンバーはいずれも船主であり、大多数の船主が直面しているのと同じ状況で、それぞれのビジネスで難局に挑んでいます。理事は多くのメンバーにいっそうの難題をお願いしなければならないことを遺憾としながらもこの決定を下しました。しかしながら、UKP&Iクラブがそのサービスを継続して提供してゆくためには、適切な資金調達が必要であり、理事は目標を達成するためにこの措置は不可決であると考えています。理事会は今後の経過を注意深く見守り、特に2008年以降の年度について少しでもメンバーへの負担を軽減するよう、いかなる機会も模索していく所存です。

理事会の方針は、予定外保険料の徴収は最も厳しい状況においてのみ実行されるべきであることに変わりありません。今回の措置により、将来的には予定外保険料に頼らず、クレームの年度ごとの変動はクラブの資金による投資収益によって対応する従来のパターンに戻れるよう望んでいます。

また一段と景気後退した場合には、クレームの件数も減り、したがって金額も減少することが考えられます。2006年および2007年度の実績が海運業界の活況の時期と呼応するように、時代がめぐることも歴史が示唆しています。ただ予測できないのは、いつクレームが減少傾向に反転するかというということですが、理事会は変調の兆しを注意深く見守るよう警告しており、メンバーへの負担を、これ以上むやみに増やしてはならないと厳命しています。本クラブ回覧及び「Q&A」は当クラブ・ウェブサイトwww.ukpandi.comあるいはクラブ日本語サイトwww.ukpandi.jpをご参照ください。 

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PI Club

Date2008/12/03