アウトライン
- 2021年1月1日からカリフォルニア州海域内での油流出に対し新たな罰金が適用されます。
- 油濁損害に対する現行のクラブ・カバーの限度額は一船舶一事故あたり10億米ドルとなっており、変更することはありません。
- 国際グループは連携するパートナーとともに、この新しい法律から生じる業界の懸念に対処する可能性について引き続き模索してまいります。
背景
2021年1月1日以降、カリフォルニア州海域内での船舶からの油流出に対し適用される新たな罰金について、回覧13/20をご参照ください。
油濁損害に対する保険カバー
国際グループは、この新法による油濁リスクのカバーに及ぼす潜在的影響について検討していることをお知らせしました。国際グループでは、汚染者に対して巨額の罰金が科される可能性があることを認識しているものの、重要であるとはいえ孤立している新法に対応するために、既存の保険カバーの限度額の変更を行うことは適切ではないと考えています。もしカリフォルニア州の裁判所が、偶発的な汚染に対して課す可能性のある罰金の最高額を補償するのに十分な保険カバーを求めたとしても、現状の世界の再保険市場では、いずれにしても実現は不可能であると言えます。しかし、油濁損害に関しては、油流出の対応費用、第三者からのクレームおよびクラブ・ルールでカバーされる罰金などについて、一船舶一事故あたり10億米ドルの保険カバーは既に存在しております。船種にかかわらず、OPA 90に基づくすべての責任限度額は、この限度額内で十分なカバーが可能であることをご理解ください。
カリフォルニア州裁判所は、罰金額を決定する際に、油濁事故に関連して環境への影響を深刻なものとみなすか、または罰金額を軽減するかを考慮する非常に大きな裁量権を有しています。考慮のポイントには、(1)油流出に至るまでの一連の出来事を含む過失の程度、(2)迅速かつ正確な報告、(3)効果的な事故対応と清掃の努力、(4)被害者への迅速かつ公平な補償、(5)天然資源への回復努力、最後に(6)油流出者の支払能力などが含まれます。補足しますと、国際グループが得た法的アドバイスでは、例え制定法によって承認されていたとしても、裁判所は被告の支払能力を超えて過剰な刑罰を科すことはできない、というものでした。
また、国際グループは連携するパートナーとともに、この新しい法律から生じる業界の懸念に対処するため、引き続き積極的な措置をとってまいりますが、いかなる措置を講じても、カリフォルニア新法の発効日に影響を与えることがないことは明らかです。
国際グループのすべてのクラブは、同様の回覧を発行しています。
UK P&I クラブ 日本支店