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Circular 08/24: The Oil Price Cap
Nigel Carden
Nigel Carden
Chairman
Date
23 April 2024 23/04/2024

ロシア産原油等プライスキャップ制度 - 航海ごとの宣誓書の提出義務とプライスキャップ同志国からの注意喚起

プライスキャップ制度の変更

クラブ回覧02/24では、(ロシア貨物CN2709およびCN2710の輸送と保険を規制する)プライスキャップ制度の変更が、(英国と米国では)2024年2月19日より、(EUでは)2024年2月20日以降に積み込まれる貨物に対して発効することをご案内しました。

その際の主な変更点は以下の2点でした。

  • 航海ごとに宣誓書の提出が義務付けられ、船主は貨物の積載後30日以内にP&Iクラブに宣誓書(Attestation)を提供しなければならないこと。

  • 付帯費用の項目別価格情報は、価格情報を入手できる事業者が記録し、船主とP&Iクラブが要求する場合には30日以内に提出しなければならないこと。

 

加入船舶がロシア産原油または石油製品の輸送に従事している場合に、クラブが保険を提供するためには以下の要件に対応していただく必要があります。

  • クラブ回覧02/24の附則Aに記載された宣誓書を提出すること。

  • 航海情報をSPIRE報告書(クラブ回覧05/23を参照)に記載すること。メンバーは、貨物の種類を問わず、ロシアへの寄港またはロシア水域を通過する場合は、この情報をクラブに提供しなければならないこと。

 

上記の情報および書類を提出していただいた後、当クラブはその内容を確認したうえで、付帯費用の項目別価格情報など、追加情報や説明をメンバーに要求させていただく場合があります。

プライスキャップ同志国[1] による業界ガイダンスでは、保険者は必要な宣誓書/情報の提供を拒否または怠ったメンバーとの取引を中止すべきであり、さらにクラブは情報を入手できなかったことを関係当局に報告すべきであると規定しています。従いましてメンバーの皆様には、上記の情報を完全に、かつ速やかに当クラブに提供していただけない場合、当クラブによる保険カバーの提供を毀損する可能性があり、また当クラブおよびその従業員にはプライスキャップ制度に違反した航海について関係当局に報告する義務があることにご留意ください。 そのため速やかに宣誓書を提出できなかった場合には、貨物の積込から30日が経過すると修正ができないため、要求されている30日以内に宣誓書を提出することが極めて重要となります。また、第一にプライスキャップ制度を確実に遵守する必要があるため、メンバーの皆様は、クラブによるサービスの提供に遅れが生じる可能性があることも予測していただく必要があります。

 

プライスキャップ制度の遵守と執行に関する注意喚起

2024年2月1日、(G7、EU、オーストラリアで構成する) プライスキャップ同志国は、最新のプライスキャップの遵守と執行に関するアラート(以降「アラート」と称す)を発表しました。

このアラートは、同志国が過去に発表した以下の声明、勧告、ガイダンスおよび注意喚起を基に作成されたとされています:

  • 同志国によるプライスキャップ制度ルールの更新に関する声明(2023年12月20日)はこちら
  • プライスキャップ同志国による海上安全に関する勧告(2023年10月12日) はこちら
  • 英国金融制裁推進局(OFSI)による海事ガイダンスはこちら
  • 英国海事サービスの禁止およびプライスキャッップに関する業界ガイダンス(2024年2月)はこちら
  • 米国外国資産管理局(OFAC)によるロシアプライスキャップ回避の可能性に関するアラート(2023年4月)こちら
  • プライスキャップ政策の施行に関するガイダンスはこちら
  • 欧州委員会によるプライスキャップに関するガイダンスはこちら

このアラートは、ロシア産原油および石油製品の取引に携わる業界関係者に、これまでに確認されたプライスキャップ制度を回避する手口の概要と、プライスキャップ違反の疑いがある場合の報告方法に関する情報を提供するために発行されました。

本クラブ回覧は、アラートの主要なポイントを要約したものです。本アラートの内容はこちらで確認できますので、ロシア産原油および石油製品の取引に携わるメンバーの皆様は、プライスキャップ制度を遵守し、制裁回避および脱法行為に関与するリスクを軽減するため、本アラートの全文を確認することを強くお勧めいたします。

 

概要

本アラートは、プライスキャップ制度の目的が「世界的な石油の流れを維持し、エネルギー安全保障を守りつつ、ロシアのウクライナ侵略戦争の資金源となりうるロシアの収入を抑制する」ということを読者に喚起し、不注意によりプライスキャップ違反とならないよう警戒する必要性を強調しています。

プライスキャップ回避の手口

本アラートは、プライスキャップを回避するために使われる可能性のある手口を以下の通り挙げています。

  1. 偽造された書類および宣誓書
  2. 不透明な輸送費用・付随費用
  3. 第三国のサプライチェーン仲介業者と複雑で不規則な企業構造
  4. 船籍の登録・再登録
  5. 「影の船団」の利用
  6. 不規則な航海

 

また、同アラートでは、これら手口に関するリスクや悪影響を軽減するために、業界関係者に対し、適切なデューデリジェンスの徹底、リスクの評価・監視・報告などの推奨事項の実施を呼びかけています。同アラートは業界関係者に、制裁回避行為のレッドフラッグに注意し、関連文書の保管・共有し、不特定の情報源を参考につつ、プライスキャップ同志国によるガイダンスや勧告に遵守することを助言しています。

違反の疑いに関する報告

本アラートの最後には、違反が疑われる場合の報告先となるプライスキャップ同志国の様々な機関の概要が記載されています。そして、メンバーの皆様は、英国など特定の法域に関連する事項について、制裁違反の疑いがある場合には報告義務があることにご留意ください。もちろん、プライスキャップ違反の疑いについて懸念がある場合は、直ちに制裁に関する法的助言を求めるべきです。

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メンバーの皆様は適用される制裁措置に違反するいかなる貿易に対しても保険カバーが適用されないことにご留意ください。また、制裁リスクの高い取引に従事する前に、貿易チェーン全体の関係当事者、貨物、船舶およびその他サービス提供者関して、徹底的なデューデリジェンスを実施することをお勧めいたします。

国際グループのすべてのクラブは同様の回覧を発行しています。

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