UK P&Iクラブ理事会はニューヨークで開催され、一連の実りある会議を終え、2024年5月13日に開催されたメンバー委員会をもって終了しました。
財務の健全性
理事会は2023年度クラブ業績をレビューし、好調な業績と資本力の大幅な増加を確認しました。全体の自由準備金は、7.5%に達した投資収益に牽引され、5,300万ドル増の4億8,300万ドルとなりました。
また、理事会ではクラブ全体の資本力についても議論しました。ソルベンシー・レシオは222%(2023年2月20日時点では200%)と大幅に改善し、クラブのソルベンシーと格付機関のリスク選好度を大きく上回っていることが注目されました。
P&I相互保険事業でほぼ収支均衡の保険引受成績を達成しましたが、今期のコンバインド・レシオは106.6%となりました。これは固定保険料契約と用船者向けカバー引受における予想以上の損失による影響です。また、理事会では2021保険年度を保険料の追加調整なしに終了することに合意しました。2022保険年度と2023保険年度は現時点ではともに黒字となっています。
保険契約の更新
理事会ではP&I相互保険事業のポートフォリオをレビューしました。クラブは主要メンバ―からの加入増により、引受トン数が全体として前年比250万総トンの増加を達成しました。これによりクラブの相互保険保有トン数は1億5,600万総トンとなりました。用船者フリートは約1億1,000万GTと好調を維持しています。重要なことは、これらの変化がP&I相互保険事業及び用船者向けカバー両方において長期的な業績向上が期待できることです。
クレーム
理事会では保険引受成績の基礎となるクレーム発生状況をレビューしました。最近、大型事故、特に人身傷害と用船者賠償責任に関するクレームが過去12ヶ月間に増加傾向にあることが注目されました。
安全&リスクマネジメント部門
理事会は、当クラブの安全&リスクマネジメント部門の新設を温かく歓迎しました。船隊の品質向上計画、市場をリードするロスプリベンション・サービスおよび業界との強力な関係の発展に特に注目しました。乗組員のウェルビーイングは引き続き重点分野としており、主に乗組員の健康に焦点を当てた取り組みを行う団体を支援するためのクラブ慈善寄付の増額が支持されました。また、理事会はクラブが引き続き支援する「Together in Safety」の最新状況も確認しました。
IT / サイバー / Al
理事会は、長年にわたり市場をリードしてきたメンバー・ポータルサービスに注力することを含めた今後のIT開発計画について、最新情報を確認しました。サイバーセキュリティに関する復元力のレビューを行い、その慎重なアプローチと規制基準の遵守に留意しました。
また、当クラブが現在、さらに将来も継続して行くAIへの取り組みに関する、理事向けのワークショップが開催されました。当クラブは事業改善のため、AIサポートによる課題解決の開発と導入に引き続き取り組んでまいります。
その他の業務
理事会は、厳格化した航海ごとの宣誓書提出要件など、最近の制裁措置の進展についても議論しました。クラブ運営のサステナビリティ、カーボン・フットプリントおよびCO2ネットゼロ排出達成に向けた進捗状況についてもレビューしました。
最後になりますが、メンバーおよびブローカーの皆様には、先日ご案内いたしましたメンバーサーベイにつき、5月末までにご回答をお送りいただきますよう、ご協力をお願い申し上げます。皆様の忌憚のないお声を聴かせていただくことを、理事会一同、心よりお待ちしております。