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Date
30 November 2020 30/11/2020

2020年9月18日、国土交通省の監修の下、日本外航客船協会によって作成された「外航クルーズ船事業者の新型コロナウィルス感染予防対策ガイドライン」が公表されました。

 

新型コロナウィルス感染症の拡大によってクルーズ船の運航の停止を余儀なくされ、クルーズ業界は大きな打撃を受けてきましたが、このガイドラインに沿って新型コロナウィルス感染症対策を徹底することにより、安全で快適な国内クルーズの環境を整えたうえでクルーズ船の運航再開をすることを目的としています。尚、各船社はこのガイドラインに基づいて新型コロナウィルス感染症の予防・防止拡大マニュアルを作成することなっており、その内容については日本海事協会(NK)の審査、認証を受けることとなっています。

Guidelines for passengers

まず、乗客への対応としては、レストランやホテル、公共施設等で幅広く行われているように、検温やマスク着用の徹底、消毒の注意喚起等のほか、厚生労働省の「新型コロナウィルス接触確認アプリ」やそれ以外の健康管理アプリの使用の推奨がされています。また、乗船後に健康状態に異常があった乗客については、診察を受けるまでは自室にて待機することや、診察時における感染を防ぐために対策を講じることが定められています。

Guidelines for crew members

一方で、乗組員への対応としては、衛生管理規定に基づいた教育や訓練を徹底するほか、乗船前14日間に渡る体温の記録の義務や、(乗船前後のPCR検査で陰性結果が確認できている場合を除いて)基本的には乗船後14日間隔離される点も明記されています。

Hygiene management

衛生管理規定については、新型コロナウィルス対策を徹底させるために記載が求められている事項として、防護具の種類や個数、有症者や感染者が発生した場合の緊急連絡体制、船内施設の消毒や閉鎖、乗客への周知、船内のゾーニング、保健所への通報といった具体的な対応方法があります。

船内施設の管理についても、定期的な消毒や乗客の密集を避けるための誘導、換気の管理やサーモグラフィの設置、そしてレストランにおいては原則的にビュッフェ等のセルフサービスの休止することまで定められています。

What if someone gets infected?

尚、これらの対策を講じたうえでも感染の疑いのある乗客や乗組員が出た場合は、有症者及びその濃厚接触者を隔離すると同時に他の乗客も自室に待機させ、船内イベントや船内施設の使用を中止します。そして万一感染が確認された場合には、更なる濃厚接触者の特定や必要に応じて濃厚接触者への検査等の対応をすることになります。さらに、国内寄港地に停泊中、もしくは国内寄港地間の航行中のいずれの場合も、指定感染症発生の場合の手続きに則り、関係機関に通報することが義務付けられており、同時に、陸上隔離について管轄する保健所へ要請し、航行中の場合は速やかに下船港に向かうこととされています。その他対応について都度関係機関や保健所等と連携、協議し、乗客の安全な下船(場合によっては帰宅)まで対応することとなっています。

最後に、「感染防止対策及び船上で乗組員や乗客に新型コロナウィルス感染症に罹患した疑いがある場合の対応等について」等海事局より発出されている通達を参照することや、下船港の港湾管理者や衛生主管部局と共に徹底した対応策を事前に協議しておくことによって、船内にて感染者が発生した場合でも乗客の下船が保障される環境を確保しておくことも重要な対応として示されています。